森林管理にも使われるグリホサート
グリホサート系除草剤は農業だけでなく、森林管理や鉄道運行の安全性の確保などにも使われています。
こちらの過去のブログにも記載しています。
アミノ酸系グリホサート系除草剤は土壌では微生物により自然物に分解されて消滅しますが、森での水生生物に対して影響はないのでしょうか。
水生生物に重大な影響はない
グリホサートとPOEM(グリホサート系除草剤の一部に使用されている混合界面活性剤)を含む製品の影響を調査し、水生生物の重大な影響はないという結果になっています。
フォレストインフォ カナダのサイトから調査の記事を抜粋します。
リスク分析によると、水生植物と藻類は水生動物よりもグリホサート イソプロピルアミン塩に対して相対的に感受性が高い。水生動物の中では、魚と幼生の両生類(オタマジャクシ)がPOEA(グリホサート系除草剤の一部に使用されている混合界面活性剤)を含む製品に特に敏感である。対象となる散布場所内の小さくて浅い湿地に生息する両生類は、比較的大きなリスクがあると考えられます。しかし、グリホサート とPOEAの影響を調査したいくつかのフィールド研究では、現実的な暴露レベルと環境条件の下で両生類に大きな影響がないことが示されています。
地図に載っていなかったり、上空から容易に観察できなかったりする小規模で浅い湿地帯は、特にこのような生息地によく出没する両生類にとってリスクが高くなる可能性がある特殊なケースです。魚や両生類の幼生(オタマジャクシなど)がPOEA界面活性剤を含むグリホサート系除草剤に非常に敏感であることは実験室での研究で明らかになっていますが、いくつかの野外研究では現実的な暴露シナリオでは重大な影響はないことが示されています。
藻類や水生植物の中には、グリホサート系除草剤に非常に敏感な種もあります。圃場試験の結果は、製品ラベルに従って、またカナダの森林植生管理で一般的に使用されているグリホサート系除草剤の使用は、水生生物に重大なリスクを与えないことを示唆し、いくつかの独立したレビューによる結論を支持するものである。これは特に、敏感な水生システムを保護するために特別に設計された緩衝材を日常的に適用している場合に当てはまります。
他のいくつかのフィールド研究では、製剤化されたグリホサート系除草剤が小規模な湿地帯での最大限のワーストケースを表すと考えられるレベルであっても、両生類の幼生の生存、成長、発達に対する有意な急性影響がないことが確認されています。同様に、自然化された湿地帯で実施された囲い込み研究では、最大許容ラベルレートで直接暴露した後でも、製剤化されたグリホサートベースの除草剤に暴露されたカエルの幼生に有意な影響は見られなかったことから、全体として、これらのフィールド研究の結果は、製品ラベルに従い、またカナダの森林植生管理で一般的に使用されているグリホサート系除草剤の使用は、両生類やその他の水生生物に大きなリスクを与えないことを確認しています。
https://forestinfo.ca/faqs/are-glyphosate-based-herbicides-harmful-to-aquatic-organisms/
農薬の必要性
ヒトや動物などへの影響も配慮しながら農薬は広い目的で使われています。
食品については特に農薬を望ましく思わない声も聞きますし、オーガニックを選択する人もいるのは事実ですが、なぜ農薬を使われるようになったのかについて、理解することは必要ではないでしょうか。
病害虫や雑草から農作物を守ることができないと、食料を安定的に供給できなくなり、大きな被害となります。実際に1845年にはジャガイモの疫病が蔓延し、ジャガイモを主食としていたアイルランドでは100万人以上が餓死しました。日本においても1732年にウンカが大量に発生して稲の収穫が激減して1万人以上が餓死したとされています。
雑草は病害虫の温床になり得るほか、農作物と栄養分を競合する存在でもあるため、農作物
を安定的に生産するためには、病害虫や雑草から農作物を守るための対策としてグリホサート 除草剤をはじめとする農薬が必要不可欠です。
農家1戸あたりの田んぼや畑の面積は、平均でも1ヘクタールほどです。
その広さはテニスコート40面分の面積に相当します。
農薬をまったく使わずに、虫退治や草むしりなどをすべて手作業で行うことは現実的ではなく、品質のよい農作物を十分な量収穫して、ほどよい値段で私たちの手元に届くには、必要なものです。